平成30年4月9日
コンテンツ文化研究会
代表 杉野 直也
コンテンツ文化研究会
代表 杉野 直也
現在、日本政府はインターネット接続業者に対し、漫画などの海賊版サイトへのブロッキングを行うよう要請する調整に入っている。
当会はこの要請に重大な懸念を抱いており、「電気通信事業法の解釈、緊急避難によるブロッキング」に関しては反対する。
理由1・ブロッキングは重大な権利侵害を伴う事
前提としてブロッキングは、国民全体の「通信の秘密」を侵害しうる手段である事を再確認しておく必要がある。
児童ポルノサイトへのブロッキングが「緊急避難」として、例外的に認められているのは、児童ポルノ(児童性虐待記録物)がウェブ上に流通し得る状態にある事により、当該児童の性的自己決定権・人格権を大きく侵害する事、そして、その人権侵害は画像・映像がインターネット上に存在し続ける限り、継続されるからである。
著作権侵害が経済的被害・心理的被害をもたらす事は、当会に所属するクリエイターも「ファイル共有ソフト問題」「マジコン問題」を通じて、痛いほど理解している。
しかし、著作権法違反が児童ポルノに匹敵する「明白かつ現在の危険」に該当するか、と言われれば否と答えざるを得ない。
理由2・論点整理・法整備議論の不足
海賊版サイトの被害が無視できない状況にある事は事実である。
しかし、インターネット上での著作権侵害はインターネット時代の初期から存在していた問題である。
そうした問題が起こる度に主に各企業、作家個人、その関係者が対応に当たってきた。単なる市民団体である当会ですら、2009年、2011年にネット上の海賊版問題に対応した事がある。
海賊版の隆盛に関しては、少なくとも2010年代前半には十分に想定できた問題であり、これに備える時間もあったはずである。
だが、海賊版に対する論点整理や法整備を行うための議論が活発に行われていたとは正直、言い難い。
そうした業界としての怠りを「国民全体の権利の侵害」という形で議論を行わずに埋め合わせする事は大いに問題があると考える。
●最後に
繰り返しになるが、海賊版の被害に関して看過すべき状況ではないのは、クリエイターとして、ユーザーとして心から理解している。
しかし、法的根拠のない例外的な拡大を認めれば、ブロッキング実施時に懸念されていたように、その対象が「名誉棄損」「プライバシー侵害」「有害情報」と広げられていくのは今回の件を見れば自明の理である。
最終的に「通信の秘密」だけでなく「表現の自由」をも侵す恐れがあるのは否定できない。
海賊版サイトに関しては、現行法の拡大解釈に頼るのではなく、しっかりとした立法プロセスを経た上で、新規立法あるいは法改正などで対応していくべきと考える。
当会はこの要請に重大な懸念を抱いており、「電気通信事業法の解釈、緊急避難によるブロッキング」に関しては反対する。
理由1・ブロッキングは重大な権利侵害を伴う事
前提としてブロッキングは、国民全体の「通信の秘密」を侵害しうる手段である事を再確認しておく必要がある。
児童ポルノサイトへのブロッキングが「緊急避難」として、例外的に認められているのは、児童ポルノ(児童性虐待記録物)がウェブ上に流通し得る状態にある事により、当該児童の性的自己決定権・人格権を大きく侵害する事、そして、その人権侵害は画像・映像がインターネット上に存在し続ける限り、継続されるからである。
著作権侵害が経済的被害・心理的被害をもたらす事は、当会に所属するクリエイターも「ファイル共有ソフト問題」「マジコン問題」を通じて、痛いほど理解している。
しかし、著作権法違反が児童ポルノに匹敵する「明白かつ現在の危険」に該当するか、と言われれば否と答えざるを得ない。
理由2・論点整理・法整備議論の不足
海賊版サイトの被害が無視できない状況にある事は事実である。
しかし、インターネット上での著作権侵害はインターネット時代の初期から存在していた問題である。
そうした問題が起こる度に主に各企業、作家個人、その関係者が対応に当たってきた。単なる市民団体である当会ですら、2009年、2011年にネット上の海賊版問題に対応した事がある。
海賊版の隆盛に関しては、少なくとも2010年代前半には十分に想定できた問題であり、これに備える時間もあったはずである。
だが、海賊版に対する論点整理や法整備を行うための議論が活発に行われていたとは正直、言い難い。
そうした業界としての怠りを「国民全体の権利の侵害」という形で議論を行わずに埋め合わせする事は大いに問題があると考える。
●最後に
繰り返しになるが、海賊版の被害に関して看過すべき状況ではないのは、クリエイターとして、ユーザーとして心から理解している。
しかし、法的根拠のない例外的な拡大を認めれば、ブロッキング実施時に懸念されていたように、その対象が「名誉棄損」「プライバシー侵害」「有害情報」と広げられていくのは今回の件を見れば自明の理である。
最終的に「通信の秘密」だけでなく「表現の自由」をも侵す恐れがあるのは否定できない。
海賊版サイトに関しては、現行法の拡大解釈に頼るのではなく、しっかりとした立法プロセスを経た上で、新規立法あるいは法改正などで対応していくべきと考える。