2018/10/22

「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の無期延期に関して

平成30年10月22日
コンテンツ文化研究会
代表 杉野 直也

10月15日、知的財産戦略本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」が、意見を集約する事ができずに無期延期となった。
当会は、この問題について意見を表明する。

意見1・ブロッキングに関しては白紙撤回すべきである

これまで、海賊版サイトの運営者を特定する事は難しいとされてきた。
しかし、今日では、情報開示請求に応じないとされてきたCDN(コンテンツデリバリネットワーク)が開示請求に応じ、運営者と考えられる人物の情報を得る事ができたと報じられている。

ブロッキングは国民全体の「通信の秘密」を侵害する可能性が高いと、
予てから指摘されている手段である。
他に選びうる手段があるのであれば、用いるべきではない。

また、今回の会議が無期延期となった背景には、「安心ネットづくり促進協議会」や「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」など、これまでに行われたブロッキングに関する議論や知見を無視し、法制化の議論すら行わずに、ブロッキングを実施しようとした政府や出版業界の姿勢がある。

このような状況では議論がまとまるはずはない。
ブロッキングに関しては、白紙撤回すべきである。

意見2・新たな手段、これまでの取り組みを検証すべきである

1で述べたように情報開示するための手段が複数、報じられている。
これらの手段の有効性について、検証を行うべきである。
また、ブロッキングにまつわる議論の中心であった『漫画村』に対する
これまでの取り組みに関しても「なぜ有効打と成り得なかったのか」、
その理由を明らかにし、広く国民に開示すべきである。

意見3・知見あるクリエイターを委員として参加させるべきである

「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」では、第二回会合において、漫画家の三田紀房氏がゲストとして発言されているのみであり、本来、権利者であるはずのクリエイターが委員としては参加していない。
当会議は知見あるクリエイターの参加を前提とするべきであった。

意見4・海賊版サイトの摘発、収入の遮断を行うための体制づくりを急ぐべきである

前回の声明でも表明したが、海賊版の被害に関して看過すべき状況では
ない。
海賊版サイトの摘発には海外の捜査機関との連携も今以上に必要になるであろう。また、CODA(コンテンツ海外流通促進機構)が2017年3月に
行ったように広告主企業への定期的な注意喚起も必要になると考えられる。
海賊版サイトの摘発、収入の遮断を行うための体制づくりを急ぐべきで
ある。

2018/10/03

当会元事務局員 荻野稔 大田区議会議員の報道に関しまして

10月3日、東京都の荻野稔大田区議会議員が警視庁から事情聴取を受けているとの報道がありました。
このような事態が生じたことは極めて遺憾であります。

荻野稔大田区議会議員は当会を退会し、大田区議選に挑み当選しました。
以後、表現規制問題に関心を持つ一人の政治家として、応援して参りましただけに今回の件は非常に残念に思います。
荻野稔大田区議会議員には事件の全容解明に向けて捜査当局へ協力し、説明責任を果たす事を望みます。

平成30年10月3日
コンテンツ文化研究会・代表 杉野直也