2018/11/12

10周年のご挨拶

この度、コンテンツ文化研究会は創立10周年を迎えました。
これもひとえに皆様のご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。
10年前に比べて直截的な危機は遠のいたと自負しておりますが、
状況的にも心情的にも問題が複雑になってきたと感じております。

「考え方を伺い、あるいは伝えるには、直接の対話が大きな意味を持つ」

発足時の理念を忘れることなく、今後とも努力を続けて参ります。
何卒、ご指導ご鞭撻くださいますよう衷心よりお願い申し上げます。

コンテンツ文化研究会一同

2018/10/22

「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の無期延期に関して

平成30年10月22日
コンテンツ文化研究会
代表 杉野 直也

10月15日、知的財産戦略本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」が、意見を集約する事ができずに無期延期となった。
当会は、この問題について意見を表明する。

意見1・ブロッキングに関しては白紙撤回すべきである

これまで、海賊版サイトの運営者を特定する事は難しいとされてきた。
しかし、今日では、情報開示請求に応じないとされてきたCDN(コンテンツデリバリネットワーク)が開示請求に応じ、運営者と考えられる人物の情報を得る事ができたと報じられている。

ブロッキングは国民全体の「通信の秘密」を侵害する可能性が高いと、
予てから指摘されている手段である。
他に選びうる手段があるのであれば、用いるべきではない。

また、今回の会議が無期延期となった背景には、「安心ネットづくり促進協議会」や「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」など、これまでに行われたブロッキングに関する議論や知見を無視し、法制化の議論すら行わずに、ブロッキングを実施しようとした政府や出版業界の姿勢がある。

このような状況では議論がまとまるはずはない。
ブロッキングに関しては、白紙撤回すべきである。

意見2・新たな手段、これまでの取り組みを検証すべきである

1で述べたように情報開示するための手段が複数、報じられている。
これらの手段の有効性について、検証を行うべきである。
また、ブロッキングにまつわる議論の中心であった『漫画村』に対する
これまでの取り組みに関しても「なぜ有効打と成り得なかったのか」、
その理由を明らかにし、広く国民に開示すべきである。

意見3・知見あるクリエイターを委員として参加させるべきである

「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」では、第二回会合において、漫画家の三田紀房氏がゲストとして発言されているのみであり、本来、権利者であるはずのクリエイターが委員としては参加していない。
当会議は知見あるクリエイターの参加を前提とするべきであった。

意見4・海賊版サイトの摘発、収入の遮断を行うための体制づくりを急ぐべきである

前回の声明でも表明したが、海賊版の被害に関して看過すべき状況では
ない。
海賊版サイトの摘発には海外の捜査機関との連携も今以上に必要になるであろう。また、CODA(コンテンツ海外流通促進機構)が2017年3月に
行ったように広告主企業への定期的な注意喚起も必要になると考えられる。
海賊版サイトの摘発、収入の遮断を行うための体制づくりを急ぐべきで
ある。

2018/10/03

当会元事務局員 荻野稔 大田区議会議員の報道に関しまして

10月3日、東京都の荻野稔大田区議会議員が警視庁から事情聴取を受けているとの報道がありました。
このような事態が生じたことは極めて遺憾であります。

荻野稔大田区議会議員は当会を退会し、大田区議選に挑み当選しました。
以後、表現規制問題に関心を持つ一人の政治家として、応援して参りましただけに今回の件は非常に残念に思います。
荻野稔大田区議会議員には事件の全容解明に向けて捜査当局へ協力し、説明責任を果たす事を望みます。

平成30年10月3日
コンテンツ文化研究会・代表 杉野直也

2018/06/30

『コンテンツ文化研究会・神奈川勉強会』開催のお知らせ

コンテンツ文化研究会は、次の日程にて『神奈川』で勉強会を開催する運びとなりました。

「表現規制問題と議会の役割」

日時:2018年8月19日14時00分(開場 13時30分)
場所:海老名市文化会館 353多目的室
神奈川県海老名市めぐみ町6番1号
講師:小泉しゅうすけ(寒川町議会議員・寒川町青少年問題協議会委員)
主催:コンテンツ文化研究会
参加費:無料


今回の勉強会では、「表現規制問題・青少年問題の現状と課題」、
そして、これらの問題に対し、政治や議会がどのように関わって来たのかを当会と共に長らくこの問題に取り組んてきた、小泉しゅうすけ寒川町議と共に振り返ります。
その上で、そうした動きをどのように捉え、対応していくべきかを皆様と共に考えていきたいと思います。

※イベント自体は予約不要ですが、懇親会参加希望の方は以下のフォームへの申し込みをお願い致します。懇親会の予算は4500円以内の予定です。



2018/04/14

緊急シンポジウムのお知らせ

緊急シンポジウムを開催します。

「これからのネットづくりと海賊サイトへのブロッキング要請を考える」

先日、海賊サイトへの強制切断が閣議決定されたものの、通信事業者などを中心に強い反対が起きています。
マンガを読む一般消費者やクリエイター側からは、歓迎、反対、困惑など様々な声が挙がっています。
本件をどう考えればいいのか、ファンや一般消費者を置き去りにしない形でどういう議論の勧め方があるのかを考えていきたいと思います。

【登壇者】
森亮二(弁護士)
上沼紫野(弁護士)
立石聡明(JAIPA)
野口尚志(JAIPA)
河村真紀子(主婦連合会)

【司会】
中川譲(MIAU)

日時:2018年4月18日16時~18時 (開場15:50)
場所:砂防会館・六甲会議室

東京都千代田区平河町2-7-4
最寄駅:下鉄永田町駅 4番出口 徒歩1分
主催:コンテンツ文化研究会
共催:JAIPA、MIAU、うぐいすリボン

参加申し込みの必要はありません。
当日は直接、会場に足をお運びください。

2018/04/09

海賊版サイトの遮断要請についての声明


平成30年4月9日
コンテンツ文化研究会
代表 杉野 直也

 現在、日本政府はインターネット接続業者に対し、漫画などの海賊版サイトへのブロッキングを行うよう要請する調整に入っている。

当会はこの要請に重大な懸念を抱いており、「電気通信事業法の解釈、緊急避難によるブロッキング」に関しては反対する。

理由1・ブロッキングは重大な権利侵害を伴う事
前提としてブロッキングは、国民全体の「通信の秘密」を侵害しうる手段である事を再確認しておく必要がある。
児童ポルノサイトへのブロッキングが「緊急避難」として、例外的に認められているのは、児童ポルノ(児童性虐待記録物)がウェブ上に流通し得る状態にある事により、当該児童の性的自己決定権・人格権を大きく侵害する事、そして、その人権侵害は画像・映像がインターネット上に存在し続ける限り、継続されるからである。
著作権侵害が経済的被害・心理的被害をもたらす事は、当会に所属するクリエイターも「ファイル共有ソフト問題」「マジコン問題」を通じて、痛いほど理解している。
しかし、著作権法違反が児童ポルノに匹敵する「明白かつ現在の危険」に該当するか、と言われれば否と答えざるを得ない。

理由2・論点整理・法整備議論の不足
海賊版サイトの被害が無視できない状況にある事は事実である。
しかし、インターネット上での著作権侵害はインターネット時代の初期から存在していた問題である。
そうした問題が起こる度に主に各企業、作家個人、その関係者が対応に当たってきた。単なる市民団体である当会ですら、2009年、2011年にネット上の海賊版問題に対応した事がある。
海賊版の隆盛に関しては、少なくとも2010年代前半には十分に想定できた問題であり、これに備える時間もあったはずである。
だが、海賊版に対する論点整理や法整備を行うための議論が活発に行われていたとは正直、言い難い。
そうした業界としての怠りを「国民全体の権利の侵害」という形で議論を行わずに埋め合わせする事は大いに問題があると考える。

●最後に
繰り返しになるが、海賊版の被害に関して看過すべき状況ではないのは、クリエイターとして、ユーザーとして心から理解している。
しかし、法的根拠のない例外的な拡大を認めれば、ブロッキング実施時に懸念されていたように、その対象が「名誉棄損」「プライバシー侵害」「有害情報」と広げられていくのは今回の件を見れば自明の理である。
最終的に「通信の秘密」だけでなく「表現の自由」をも侵す恐れがあるのは否定できない。

 海賊版サイトに関しては、現行法の拡大解釈に頼るのではなく、しっかりとした立法プロセスを経た上で、新規立法あるいは法改正などで対応していくべきと考える。



2018/03/20

コンテンツ文化研究会・勉強会

国連での政策的意思決定はどう進むのか
~国際連合人権理事会に参加して分かったこと~


コンテンツの表現規制問題は、近年たびたび「国連」という存在と衝突してきました。
「人権理事会特別報告者」などから、マンガやアニメ・ゲームに対して否定的な見解が語られ、それに対して様々な反論・対応が行われた記憶は古くなってはいません。

しかし、「国連」「国連人権理事会」とは一体どういう組織なのでしょうか?
誰がどういう立場で意見を述べているのでしょうか?
何を決めているのでしょうか?
どこでどれくらいの期間、開催しているのでしょうか?
そして、その「国連」に対して日本政府は具体的に何をどう対応することになるのでしょうか?

今回の勉強会では、今年の2月から3月にかけて、スイス・ジュネーブで
開かれた国連人権理事会に足を運ばれた
日本映画大学映画学部准教授の中川 譲 氏
にお話を伺い、10年前の児童ポルノ対策における政策的意思決定過程を
踏まえながら、国連での国家間の議論の進み方などについて整理をしてみたいと思います。

日時:2018年03月31日(土) 19:00~
場所:品川きゅりあん・大会議室
主催:コンテンツ文化研究会
参加費:無料

2018/01/04

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
皆様にはお健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

時が経つのは早いものでして、当会が活動を開始して今年で10年になります。
東京都青少年健全育成条例の否決と可決、海外団体との協力、児童ポルノ禁止法を巡る長い議論とその可決、与野党を問わない周知活動の実現、地方議員を送り出せた事など、この10年の成果は満点とは言えないまでも、表現規制反対運動の歴史においてエポックメーキングな事を成し遂げてきたと自負しております。
また、「うぐいすリボン」、「表現の自由を守る会」など、当会だけではなく表現の自由を擁護する活動を行う団体が広がっている事も大変心強く思っております。

10年前のように個人の主観に基づく感情論のみで特定の表現を排斥するのは難しくなっているのではないでしょうか?
しかし、快・不快の感情から起こる軋轢は決して無くなる事はありませんし、健全な社会を築いていく上で無視して良いものでもないと考えます。
千葉市の成人向け雑誌をめぐる問題、オリンピックに向けての環境浄化、規制を求める方々の組織再編など、憂慮すべき事柄は決して無くなってはいません。

日本国憲法12条にあるように自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなけれはなりません。
私たちの自由・権利を守るのは他の誰でもなく私たち自身なのです。

この事をを改めて肝に銘じ、気持ちを引き締めて更なる努力をしていく所存です。
皆様のより一層のご指導ご鞭撻をいただければ幸いです。

コンテンツ文化研究会一同